2026/02/13 10:33
2月に入り、全国各地でノロウイルスによる集団食中毒が相次いで報告されています。
高齢者福祉施設、介護施設、医療機関、飲食店、ホテル、ゴルフ場レストランなど、発生場所は多岐にわたっています。
特に目立つのは、高齢者施設での集団発生です。数十人規模の発症事例もあり、なかには死亡例が報告されているケースもあります。高齢者や基礎疾患を持つ方は重症化リスクが高いため、施設内での感染拡大は大きな問題となります。
また、飲食店や会食施設など、大人数に一括して食事を提供する環境でも発生が確認されています。ひとたび調理工程で汚染が起こると、発症者が一気に増える可能性があるのがノロウイルスの特徴です。
今回の事例の中には、調理従事者からノロウイルスが検出されたケースも報告されています。ノロウイルスは食品そのものよりも、人を介した二次汚染によって広がるケースが多いとされています。
このウイルスは非常に少ない量でも感染が成立するといわれており、感染者の便や嘔吐物中には大量のウイルスが排出されます。そのため、調理担当者が感染していた場合、手指や調理器具を介して食品に付着し、多数の発症につながる可能性があります。
さらに注意が必要なのは、不顕性感染(症状がほとんど出ない感染)が存在する点です。はっきりとした嘔吐や激しい下痢がなくても、軽い軟便や腹部の違和感のみで経過する場合があります。しかし、そのような状態でもウイルスを排出している可能性があります。
「これくらいなら大丈夫」と自己判断して調理に従事してしまうことが、結果的に大規模な集団発生につながる恐れがあります。
大量調理施設や委託給食では、一人の体調不良が数十人規模の発症につながるリスクがあります。そのため、
・軽微な消化器症状がある場合は調理に従事しない
・出勤前の体調確認を徹底する
・発症後は十分な休養期間を確保する
といった運用面での管理が重要です。
また、流行期には通常よりも衛生管理の範囲を広げる意識が求められます。手洗いの徹底だけでなく、トイレ個室内の便座やレバー、ドアノブ、トイレまでの導線部分、共用テーブルや手すりなど、接触頻度の高い場所を重点的に管理することが重要です。
ノロウイルスは環境中でも一定期間残存するとされており、接触を介して感染が広がる可能性があります。特に嘔吐物処理後の周辺環境や水回りの管理は慎重に行う必要があります。
流行期には、設備だけでなく「人」と「環境」の両面から対策を見直すことが、感染拡大防止につながります。
日常の衛生管理を一段引き上げる意識が、施設や利用者を守る重要なポイントといえるでしょう。

